週に一度は大型スーパーへ行く。
このスーパーはフランス資本のもので、
値段も比較的安いから、行った時は山ほど欲しかったものを買う。
ここで楽しいのは、沢山の種類のチョコレート菓子を
自分で量って好きなだけ買えるからだ。
美味しいものを選ぶには、あるコツがある。
それは、中央アジア系のおじさんの後についていくことだ。
中央アジアから来た人たちは、市場で買うことに慣れているから、
スーパーでも、市場と同じように品物を買う前に試し食いをする。
つまり、山と積まれたチョコレート菓子を
おじさんたちは次から次につまんでかじる。
美味しくなければそれを半分そこへ置いていくから、
チョコレート菓子の中身がわかってよい。
中央アジアのおじさんたちは、ものすごく甘いのが好きだ。
だから私はおじさんたちが買うのと同じものを選ぶのではなく、
おじさんたちが食い散らかしたチョコレート菓子の中身を
調べながら、自分好みの美味しそうなものを選んでいく。
中央アジアの人たちは賑やかだ。
大声でお菓子をつまみ食いしながら、
「これは美味い!これはあんまりいただけないな!」
などと大げさなジェスチャーと大きな声で話しながら、
堂々と店の中を歩き回る。
つまみ食いはスーパーでは禁止されているのだが、
スーパーで働く店員たちは、
ほとんどが中央アジアから来た人たちだから、
同胞のすることは見て見ぬふりをしている。
私もアジア系の顔だからだろうか、
品物を量るときにうっかり床へばらまいてしまったとき、
そばに居た店員は私をちらっと見て、
「よくあることよ。ほおっときな。」
と言ってくれた。
うちで美味しいチョコレート菓子を食べるときは、
スーパーで買い物をする中央アジアのおじさんたちを思い出す。