ぶか~しゅか の ひとり言 (from:モスクワ)

ロシアは日本人にとっては知らないことが多い国。日本の考え方は100パーセント通じない国。でも見かたを変えれば、面白いことも多い国。ロシア人のなかで暮らす日本人の私が、見て感じたロシアをそのままに書いてみたいと思います。

日本へ3ヶ月帰国したときのこと

母が股関節の手術をするので、
主人と2人、3ヶ月間日本で両親の介護をして過ごした。


母の退院後のリハビリは、家の近所を毎日歩行器で歩くことだった。


リハビリには朝の日差しの中を歩く方がいいだろうということで、
朝食を作るのに忙しい私に代わり、
ロシア人の主人が母に付き添って散歩することになった。


小さな母と長身の外国人がいっしょに散歩をしている様子は、
誰が見ても不思議な光景だろう。


そんなことを思っていたある日、
主人が散歩から戻ってくると嬉しそうに話し出した。


「僕は毎日いろんな人と挨拶しているんだよ。」


私: 「え、いったい誰と?」
主人: 「名前は知らないけど、僕を見ている人が多いから僕は皆と挨拶するんだ。」


状況がよくわからないので、もっとよく訊いてみると。


散歩中に自転車を押しながら、あるおばあさんが反対側からやってきたという。
おばあさんは外国人の主人に驚いたらしく、
主人のことを眼をまん丸にしてじっと見ていたらしい。


主人は日本人の会釈を心得ているから、軽くおばあさんに頭を下げて挨拶した。
おばあさんも主人につられて会釈で答えた。
が、
何者かわからぬ外国人から会釈されたものだから、
おばあさんは主人から目が離せなくなってしまったらしく、
すれ違ってからも振り返りながら主人をずっと見ていたのだという。
主人はその視線に答えて、
手を縦に大きく振りながら笑顔でさよならをしたらしい。
おばあさんはますます驚いて、一目散に駆け出していったという。


それって、ただ驚かしてるだけだと思うが・・・。


でも、主人が日本人とのコミュニケーションと思っているようなので、
「よかったね。」
と言っておくだけにした。