ぶか~しゅか の ひとり言 (from:モスクワ)

ロシアは日本人にとっては知らないことが多い国。日本の考え方は100パーセント通じない国。でも見かたを変えれば、面白いことも多い国。ロシア人のなかで暮らす日本人の私が、見て感じたロシアをそのままに書いてみたいと思います。

ロシアで籍を入れるのに1年近くかかったこと・・・その2

ロシアでは、結婚する年齢が非常に早く、またすぐに離婚する人たちも非常に多い。 

それは結婚届を出す扉と、離婚届を出す扉の前の長蛇の列を見ればわかる。

 

結婚届を出す部屋と、離婚届を出す部屋は、役所の建物の左右にわかれて存在する。

それはロシアの役所が 使う側のことを考えて、唯一配慮した設置だと思う。

 

ロシアでは、結婚するにしても離婚するにしても、

役所に届け出を出してから1ヶ月間、 書類は保留される。

1ヵ月後、役所が決めた日の定められた時間に、再び2人で役所へ出向き、

その時点で結婚か離婚を正式に決める。

 

それは保留期間の1ヶ月の間に気持ちが変わるカップルが多いからだ。

 

さて私たちはどうだったかというと、

ひとつ問題があった。

 

私のロシア滞在ビザがすでに1ヶ月を切っていたからだ。

 

今度日本へ戻るときには彼と正式に籍を入れて帰れる

と私は信じていたから、

かなり気持ちが落ち込んだ。

 

こ~んなに大変だということを

彼はなぜ前もって言わなかったのか。

 

「前もって言えば、もっと苛ついたでしょ。」

という答えが返ってきた。

 

そうかもしれない・・・。

 

しかし、私たちはまだ結婚届の扉までも行きつけていなかった。

あの扉を開けて、

「結婚したいのですが、どういう書類が必要でしょうか?」

と訊くこともできていなかった。

 

そのために

私たちは朝5時に起きて、3月のまだ雪の残った寒い道をてくてく歩き、

閉まっている役所の門の前で、

2時間も立って凍えながら門が開くのを待つことにした。

 

だがもっと驚いたのは、

こ~んなに早く来るのは私たちだけ、と思っていたのに、

もっと早く来ていたカップルがいた。

 

私たちの順番は、結局2番目ということになった。

 

雪の中で2時間立っているというのはどんなに辛いことかわかるだろうか。

 

凍死しそうになるくらい寒いのだ。

だから私はマフラーを2重に巻き、だぶだぶのズボンの下にステテコを2枚はいて、

結婚届を出しに行くカップルにはまったく見えない格好をしていた。

 

当然お手洗いのないことを考えて、朝は水を飲まなかった。

 

朝8時ちょっと前、警備員が門を開けた。

役所の扉は職員が来ないと開けてくれないようだ。

8時を少しまわったところで、やっと職員の女性たちがゆっくりとした足取りでやってきた。

雪の中に立っている私たちを見ると怪訝そうな顔を見せた。

彼ともう一人のカップルの男性が、

「僕たち早く結婚したいんですよ!」

とおどけたように叫んだ。

すると女性職員は、

「そんなに急いでどうするの。」

と、フッと笑って建物の中へ入っていった。

 

「なんだそれっ!」

 

私はそのとき心の中で叫んだような気がする。

 

ロシアの役場で、感じの良い女性は残念ながら非常に少ない。

男性が少ない国だからか、

どこもかしこも無愛想な女性職員が多い。

 

結婚届を出すにも

こ~んなにも我慢が必要だとは、思ってもいなかった。

 

笑顔はなく、、

ロボットのように表情もなく話す職員は、ロシアでしか見ることはできないと思う。

その冷たさに、私はこれから何度耐えなくてはならないのか・・・。

 

とんでもない国に嫁に行くのかもしれないと、思いだしたのだった。

 

さてこの日、私たちは結婚届をする扉を開け、

やっぱり無愛想な女性職員から結婚届に必要な書類を詳しく聞きだし、メモすることができた。

私のビザが1ヶ月を切っていることから、当然日本へ戻らなくてはならなかった。

そして、今度日本から戻ってきたら、

 

いよいよ結婚届だ!

 

それを楽しみに

またロシアへ戻ってこよう。

と、

私はまだ本当のロシアを知らないまま日本へ戻ることになった。(つづく)

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