ぶか~しゅか の ひとり言 (from:モスクワ)

ロシアは日本人にとっては知らないことが多い国。日本の考え方は100パーセント通じない国。でも見かたを変えれば、面白いことも多い国。ロシア人のなかで暮らす日本人の私が、見て感じたロシアをそのままに書いてみたいと思います。

素敵な言葉

大型スーパーへ行くための無料バスの停留所で人々がバスを待っていた。

 

その中に労働者風の中年のカップルが1組、少し疲れたような顔で立っていた。

 

男性も女性もロシアでは珍しく、とても地味な服装だった。

そのカップルの近くには、やはり無料バスを待っている女性が

夏の華やかなワンピースを着てサングラスをかけ、真っ直ぐに前を見て立っていた。

 

労働者風の女性がその女性を見ながら男性に

ふとこぼした言葉が耳に入った。

 

「ただ買い物へ行くのに、あんなに綺麗な服を着ているわ。」

 

労働者風の女性は、

その華やかなワンピースを羨ましげに見ながら

自分の地味な服装をそれと比べて悲しげな顔をして俯いた。

 

彼女の様子を見た労働者風の男性は、彼女を軽く引き寄せて、

微笑みながら

「今日の君はとても素敵だよ。」

と言って、

彼女の頭に軽く口付けをした。

 

労働者風の女性は

はにかむように彼の顔を見上げ、

彼に寄り添い、優しい笑顔で彼に答えた。

 

映画に出てくるようなワンシーンを見たような気がした。

 

こういう優しい素敵な言葉をいいタイミングで言えるのが

ロシアの男性だと思う。

 

どんなにおっかない顔のおじさんでも、

どんなに冴えないおじさんでも、

こういう洒落た言葉を女性に言えるのがロシアの男性なのだ。

 

そういう私の主人も

私が顔を赤くするような、

映画で二枚目が言うような言葉を

 

平気で言う。

 

さらっとそういうことを言うから、

 

私はあっけにとられたり、

身体中がかゆくなるような衝動にかられ、

照れてしまって、

自分に対していわれた言葉を

上記の女性のように

はにかみながら寄り添って優しい笑顔で 主人に答えられない。

 

へへへ・・・

 

と、つい笑ってしまうのだ。

すると主人は不思議そうな顔で、どうして笑うのか訊いてくる。

 

私は、

 

キザだ。

 

とは言えず、顔をそらして何もなかったように他の話題を持ち出す。

 

いつか素直に

優しい笑顔でその言葉に答えられるような女性になりたい。

 

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