ぶか~しゅか の ひとり言 (from:モスクワ)

ロシアは日本人にとっては知らないことが多い国。日本の考え方は100パーセント通じない国。でも見かたを変えれば、面白いことも多い国。ロシア人のなかで暮らす日本人の私が、見て感じたロシアをそのままに書いてみたいと思います。

ロシアであった いろいろな事

空港でよく見かける光景がある。

 

荷物をチェックする列に日本人が並んでいる。

日本人は前の人と少し距離をもって並ぶ。

その日本人がちょっとよそ見をしている隙に、前の人との間にロシア人が割り込む。

日本人は驚いて、そのロシア人の顔を見る。

が、 ロシア人は知らん顔。

日本人とは目を合わせようとはしない。

日本人はだんだん怒りが込み上げてくるが、文句は言えない。

そして我慢したままロシア人に割り込まれた列に並び続ける。

 

ロシアではよくあることだ。

 

私もロシアの人々のナハーリヌイ(厚かましい、図々しい)態度に散々悩まされている。

 

ロシアでは、自分を主張しないと生きていけないと思う。

だから上記のような場合は、しっかりと相手の目を見つめて、

 

「ムッシーナ(男の場合)!ジェーンシナ(女の場合)!

                 サブリュダーイチェ オーチェレジ!(順番を守りなさい!)」

 

ときっぱりと言わなければ馬鹿をみる。

 

飛行機の中、特にアエロフロートでは、

新聞を大きく広げ、前の席にまでかかって邪魔になっているのに

まったく気がつかないロシア人がよくいる。

また食事のときに

眠ったときのまま席を元に戻さないロシア人が多い。

 

そんなとき、

ロシア人が男性の場合は、スチュワーデスにこそっと告げて、

代わりにそのロシア人に注意してもらうほうが無難だ。

ロシア人が女性の場合は、

「ジェーンシナ!(これは何かを注意するときだけの呼びかけ)」

と非難の目でその箇所を指差しながら抗議するとよい。

 

ロシアの人々で、

他人のことを気にしてくれる人は本当のインテリゲンチャだと思う。

 

だからたまにそういう人に出くわすと、

当たり前のことなのに私はものすごく感激してしまう。

 

モスクワ郊外へ車で行くときと帰るとき、

ヤロスラフスカヤ道は2年続きの道路工事で毎回ものすごい渋滞にあう。

そんなとき

車であっても上記に書いたと同じようなことがしばしば起こる。

 

車間距離をあけて運転していると、

必ずと言っていいほど隣車線から車が割り込んでくる。

こういう車の運転手は渋滞の中、

少しでも前へ行けそうな車線を行ったりきたりするやつだ。

 

私は車の運転はできないので、助手席に座り、

そのつど怒鳴ってため息をつきまくっている。

 

主人は、

この何年かで1度しかクラクションを鳴らしたことがない。

 

ロシアでは、信号が青になると後ろの車がいっせいにクラクションを鳴らし始める。

前の車に

「早く行け!」 という合図である。

 

また駐車場では、

車を出すときと入れるときに車が少しでも立ち往生すると、

クラクションを鳴らし出し、2分も待たずに外へ飛び出してきて、

両腕を大きく広げながら

「いったい何してんだよ!」

と叫びだす。

 

私たちにもそういうことがあった。

 

私はすぐに窓を開け、

「しばらく待ってなさいっ! いまどくから!」

と思わず怒鳴ってしまった。

 

主人はそんな私に

「なんで怒鳴る。だまってなさい。」

とたしなめた。

 

「あういう奴らは勝手に怒鳴らしておけばいいんだ。」

と主人は言った。

「それもそうだ」 

と思った。

 

地下鉄のホームでは、

混雑していたホームへ降りたとき、

電車へ乗り込もうとした大きな荷物を持った女性にぶつかって怒鳴られた。

 

「この馬鹿女っ!」

 

と言われ、

私はぶち切れた。

 

「おまえっ!いまなんて言ったっ!」

と、

はしたない怒鳴り方をしてしまい、

落ち着くようにと主人に腕をひっぱられてその場を離れた。

 

周りの人からは当然日本人とは思われていないだろうから、

ま、いいや。

その場を離れてから反省した。

 

昔、日本に居たときの私は、

八百屋さんに

「何をください」 と言うのも言えないくらい恥ずかしがり屋で引っ込み思案だった。

八百屋さんがスーパーになって、

いちいちそれを言わなくてすむようになってほっとしたことがあるくらいだ。

 

そんな人間がなぜかロシアに行ってしまい、

がさつな女になってしまった。

 

ロシアのシェレメチェボ空港からJALに乗って日本へ戻ったときのこと。

キャリーバックから自分の手提げ鞄を取り出して、

空港で買った土産ものをキャリーバックへ入れたから、手荷物は2つになった。

JALへ乗り込んで、キャリーバックを座席の下へ置こうとしたらスチュワーデスに注意された。

 

「お客様、座席の下には荷物を置かないようにお願いいたします。」

 

そして少し間を置いて、

「だいたい手荷物はお一人1つと決められています。」

と、少しきつい調子で言われてしまった。

 

私は彼女を見上げ、黙っていた。

 

頭の中では、

手荷物チェックを通ってしまったのだから、いまさら言われても困る。

という考えが脳裏をよぎって、

何と答えたらいいのかすぐには答えられなかったのだ。

 

すると

急に態度をひるがえしてそのスチュワーデスが謝りだした。

 

「お客様、申し訳ありません。言い過ぎました。どうぞこちらの棚へ入れてください。」

 

そして何度も何度も謝るのだ。

規則を守らない私のほうが悪いのに・・・。

 

たぶん表情を変えないまま彼女をじっと見つめ、

何も言わない私に恐怖感を感じてしまったのだろう。

本当に悪いことをしてしまったと強く感じ、

自分の日本人らしくない態度を恥じた出来事だった。

 

田舎へ旅行に行ったときのこと。

田舎のバスは1時間に1台しかこない。

その混雑したバスにリュックサックを背負って乗ったから、

周りのおばさんたちにことごとく文句を言われた。

 

あまりにしつこく、身体までつつきながら文句を言うので

温厚な主人も我慢できずに言い返した。

すると威丈高になっておばさんたちは叫び出す。

私は大声で、

「申し訳ありません!と言ってるでしょっ!」

と叫ぶと、

ピタッとおばさんたちの叫び声が止まった。

私はフンッと蔑んだ目で皆を見つめてそのバスを降りた。

皆がまん丸な目で私たちを見つめている。

 

あ、こうゆう対し方もあるんだな。

新しい対処法を発見してかえって嬉しくなった出来事だった。

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