ぶか~しゅか の ひとり言 (from:モスクワ)

ロシアは日本人にとっては知らないことが多い国。日本の考え方は100パーセント通じない国。でも見かたを変えれば、面白いことも多い国。ロシア人のなかで暮らす日本人の私が、見て感じたロシアをそのままに書いてみたいと思います。

ロシアの人々の挨拶のしかた

ロシアで見ていて楽しい光景がある。

それはロシアの人々の挨拶の仕方だ。

 

ロシア人の男同士だと お互いにがっちりと握手をする。

それは子供同士だって同じだ。

父親と息子でさえも会うと必ず握手をする。

タバーリッシ 「同志」

みたいな感じで握手をするのが見ていてなかなかいい。

 

女性同士だと、すっと寄って行って軽く抱き合い、

頬っぺたに お互いが口の端で軽くキスをする。

小さな女の子同士だって そうやって挨拶する。

 

中央アジアの人たちは、

身体を半分ずつ抱き合って、

男同士が頬っぺたにキスをしているのを見かけたことがある。

 

コーカサスの人たちは大声で名前を呼び合い、がしっと抱き合って、

お互いの背中を軽く叩き合い、ばふっばふっと頬にキスをし合ってから

握手をしていた。

 

とにかく会ったときの喜びを最大限に出し合って挨拶するのだ。

 

だが、私はどうもそれが苦手だ。

 

抱き合ったときにすぐに頬を寄せ合い、口の端でお互いの頬にキスをするというのが

十数年たっても一度もできたことがない。

 

昔、女性ばかりの職場に居たとき、

私が抱き合って挨拶しないことに不満を言われたことがあった。

 

私にとってみれば、

毎日顔をあわせているし、

お互いの仕事の仕方についての不満もあるから、

抱き合うなんて辛いものがあった。

できれば目も合わせずに

「おはよう。」だけで済ませたい人たちばかりだったからだ。

 

でも、不満を言われたからには抱き合って挨拶しないわけにはいかなかった。

 

「おはよう。」と言って手を広げ、

寄って行って、

ぎこちなく頬にキスをしたような

しないような挨拶を

私が初めてしたとき、

職場の仲間たちは、一斉ににこやかな表情になった。

 

「やればできるじゃない。そうやって挨拶しなきゃ。」

と、皆に言われた。

ロシアの人たちの性格が、それでなんとなくわかったような気がした。

 

単純に

スキンシップで、

毎日の不満は消えてしまうのかもしれないと思った。

 

そして男性と女性の場合は、お互いの関係がはっきりとわかる。

 

たとえば主人と昔の女友達が久しぶりに会った時などは、

その女友達が、

主人と昔どんなお付き合いをしていたのか、

まで、

わかるときがある。

 

あるとき、主人と久しぶりに会った女友達が、

主人と会った途端に主人に抱きつき、

頬っぺただけでなく、主人の顔を抱きかかえ、キスをするのを見たことがある。

妻の私でさえ、あんな挨拶はしないのに。

 

まぁ そういうところを見た後は、私は夜中まで主人とそのことについてしつこく話をする。

 

ロシア語に、男性名詞と女性名詞があって、

今日会っていたのが男性なのか女性なのかがわかるように、

ロシアでは、挨拶のしかただけでお互いの過去の関係までがわかってしまう。

 

そんなこともあるロシアは、とてもわかりやすい国なのだと思う。