ぶか~しゅか の ひとり言 (from:モスクワ)

ロシアは日本人にとっては知らないことが多い国。日本の考え方は100パーセント通じない国。でも見かたを変えれば、面白いことも多い国。ロシア人のなかで暮らす日本人の私が、見て感じたロシアをそのままに書いてみたいと思います。

ロシアのお菓子

5月1日からの連休で、頭が少しボケているようだ。

 

今日は朝から雪まじりの強い雨が降った。

けれど15分後にその雨はピタッとやんで、青空が見え始めた。

気温は8度。

集中暖房はとっくに止まっているから、

家の中が・・・寒い。

 

こういうときは暖かいお茶を飲む。

お茶を飲むときはお菓子をつまむ。

 

ロシアのお菓子に、子供たちの大好きな『バトンチキ』というのがある。

これはカカオと大豆の粉でできたお菓子。

口に入れるとトロッととける

と 同時に、

ざらっとした大豆の香ばしい香りが口いっぱいに広がって美味しい。

 

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 (写真左の赤い包装紙がバトンチキ。)

 

バトンチキは最近まで、

一番安くて、一番美味しい手ごろなお菓子だった。

それが、

このところ値上がりしている・・・。

甘い物好きの私としては非常にショックなことだ。

 

そしてもう一つ、私がいつもお茶の おとも にしているのが、

『キスキス』

というキャラメル。

 

日本で売っているような、口の中でトロッととろけるキャラメルとは違って、

パサッとしてネバッとした 昔風キャラメルだ。

 

これがお茶に良く合う。

 

パサッ、ネバッ、

だからお茶を口に含むとそれがまろやかに溶け出して美味しい。

最初からトロッととけると、お茶を飲んだときにはもう口の中のお菓子はなくなっている。

ちょっと別の意味で、食べ応えがあるお菓子だと思う。

 

『キスキス』 というのは、猫を呼ぶときに言う言葉。

 

ロシアでは、親指と人差し指をこすり合わせながら、

猫を呼ぶときに 「キスキスキス」 と言う。

だから包装紙には猫の絵が描かれている。

 

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ロシアのお菓子の包装紙はとてもかわいらしい。

見ているだけで楽しくなる。

 

ロシアでは祝日に、 必ず ケーキ(トルト) を食べる。

お店では、やたらと大きいデコデコしたケーキを山のように売っている。

 

以前、まだ大学の寮に住んでいた頃、

甘い物好きの友達と一緒にケーキを買いに行ったことがある。

 

2人とも生クリームのたっぷりかかったケーキが好きだったから、

長いことショーウィンドーの前にかがんで、

一番デコデコした色んな色のクリームののっかったケーキを選んで買った。

ケーキの名前は、

『プチーチーィマラコー』。

 

まだロシア語を良くしゃべれなかった頃のことで、

その名前を見て、

プチーチー(小鳥)の

マラコー(お乳)。

小鳥はお乳を出さないけど・・・?

 

でも、美味しそうだ。

と、ものすごく期待して寮へ持って帰った。

 

早速お茶を入れ、

2人で祝日のお祝いをしようとケーキの箱を開け、

切り分けた。

 

お皿に盛りつけたとき、

随分しっかりした濃厚なクリームのかかったケーキだ

と、思ったものだ。

 

嬉しく、2人で大口を開けてケーキを口に運んだ。

その瞬間、

私たちの表情は悲しく、裏切られたものに変わった。

 

私達が 生クリーム と思っていたのは、

マシュマロで、

プチーチーマラコー というのは、

「卵白でできたもの」

つまりマシュマロケーキということだったのだ。

 

その後、私たちはうんざりしながらもマシュマロケーキをすべて平らげた。

お茶を何杯飲んだか覚えていないくらい飲んだ。

 

マシュマロが

まずかったわけではないが、

生クリームを心ゆくまで食べられると思っていた期待が裏切られ、

買ったケーキを捨てるわけにもいかず、

2人で夕飯も食べずにマシュマロケーキを食べきった。

 

そして、その思い出は、忘れられないものになった。

 

ロシアのお菓子は甘い。

洗練された甘さではなく、とにかく甘い。

それをお茶で飲むのがロシア風。

 

また私は間違っているのかもしれない

が、

たまに、

お菓子の袋の中に、空の包装紙が入っていたり、

半分にちぎられたお菓子が入っていたり、

まったくカラの空気の入った袋が入っているのは、

ロシアでは、

おまけ」  みたいなものだ。

 

それを笑いながらゴミ箱へ捨てて、

甘いお菓子を食べ続け、お茶を飲み、話し続ける。

それがロシア風。

・・・だと思う。