ぶか~しゅか の ひとり言 (from:モスクワ)

ロシアは日本人にとっては知らないことが多い国。日本の考え方は100パーセント通じない国。でも見かたを変えれば、面白いことも多い国。ロシア人のなかで暮らす日本人の私が、見て感じたロシアをそのままに書いてみたいと思います。

ビルベリー(チェルニーカ)

ロシアのデザートで今はまっているものがある。

それは、

ビルベリーのヨーグルトとビルベリーのトゥバロージェック。

トゥバロージェックはカッテージチーズをムースにしたようなもの。

それにお砂糖で甘く煮たビルベリーが入っている。

 

このビルベリーはブルーベリーの一種なのだが、

ブルーベリーよりも小さくて、酸っぱ味が強い。

そしてブルーベリーのように眼に良いといわれている。

 

ビルベリーは、深い森だけでとれるもの。

栽培することのできない 自然の恵みだ。

 

昔、まだソ連時代だった頃、ツアー旅行でイルクーツクへ行ったことがある。

そのとき空港で、子供たちが新聞紙を丸めた袋にビルベリーを山のように入れて売っていた。

あの時は添乗員さんに

「あんなものは歯が黒くなるだけだから買う価値はない。」

と言われて買わなかったけど、

今思い出すと残念で仕方がない。

 

ビルベリーを初めて食べたのはボルガ河の上流にある森の中だった。

深い森の中へドシドシ入っていく主人の後を追って、

私は蚊の大群に悩まされながらも、ひぃひぃ叫びながらついて行った。

 

大きな木々についた苔を見て 方向を確かめながら、主人は森の奥へと入って行った。

 

道なき道をどんどん先へ行く主人の後を必死でついて行くうち、

くもの巣が顔にまとわりついて、

私は 「ぎゃ~っ」 と叫んだ途端、苔ですべって転んでしまった。

 

「もう歩けない。」

半べそをかいて大声で主人の名前を呼んだ。

 

すると、

主人が手にいっぱいの黒い実を差し出して、

「食べてごらん。」

と私の手にのせた。

 

私はやけくそで、黒い実をいっぺんに口へ放り込んだ。

甘酸っぱい汁が口いっぱいに広がって、

悲鳴をあげて 渇いてしまった喉に流れ込んだ。

 

濃厚な甘酸っぱさ、その美味しさに涙がにじんだ。

 

それがビルベリーだった。

 

「これ、どこでとってきたの?」

と主人に訊いたら、

「ほら、足元の茂みの下にいっぱいなってるよ。」

と言われ、

蚊に刺されて気が狂いそうだったことも

くもの巣が顔に絡んで転んだことも

すべて忘れて、

私は足元の茂みのビルベリーを手当たりしだい食べだした。

美味しくて、美味しくて、森の中の熊になったような気持ちだった。

 

それ以来、スーパーでビルベリーの入った食品を見つけると、

私は全て試してみる。

ヨーグルトに入れても、焼き菓子に入れても、

ビルベリーは本当に美味しい。

あの独特な酸っぱ味がデザートの味をひきたてるからだ。

 

しかし、ビルベリー入りのトゥバロージェックは美味しいがカロリーが高い。 

夏が近いというのに、

すでに2キロも太ってしまった・・・

 

 

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明日はコケモモのジュースでも飲もうか・・・