ぶか~しゅか の ひとり言 (from:モスクワ)

ロシアは日本人にとっては知らないことが多い国。日本の考え方は100パーセント通じない国。でも見かたを変えれば、面白いことも多い国。ロシア人のなかで暮らす日本人の私が、見て感じたロシアをそのままに書いてみたいと思います。

自分で髪を切った

モスクワでは、私は自分の髪を自分で切る。

以前は背中の半分まで長かった髪も、歳をとって少なくなってきたので、

数年前に思い切って髪を切ることにした。

ちょうどペテルブルグへ旅行したときのことだ。

親戚の友達がペテルブルグで美容師をやっているというので、

思い切って切ることにした。

 

しかし美容師の彼女と話をするうちに、

彼女が日本人のイメージをおかっぱ頭と思っていることがわかった。

 

美容師なのに、その人の顔の特徴を見て髪型を決めようとしない彼女を私はあまり信用できなかったのだが、

あれこれ自分のイメージする髪型を説明して、なんとかカットしてもらうことにした。

そして案の定、私の気に入らない髪型になった。

 

モスクワへ戻って、私は気に入らない髪型にイライラし、とうとう自分で髪を切ることを決意した。

 

初めて自分で切った髪型は超短髪だったけど、

それでも自分なりの雰囲気は出ていると思って満足した。

 

しかし次の日、職場へ行く途中のトロリーバスの中で、

私の髪型がおばさん方の話題の的になった。

 

「最近の中国人は女なのに男の子のような短い髪型をしているのね!

まったく気に食わないわ。」

 

一人のおばさんが大きな声で私を罵倒した。

 

するともう一人のおばさんが、

「あらいいじゃない。私はあの髪型あの子に似合っていると思うわよ。

私はあの髪型気に入ったわ。」

と言ってにっこり私に微笑んでくれた。

 

話題の的になった私は自分が日本人だと言うこともできず、

ただ下を向いて立っていたのだけど、

私が降りる停留所まで,他のおばさんまでもが参加して、

私の髪型が気に入らない、気に入ったの言い合いになった。

 

そんなことがあってからも、私は自分の髪を自分で切る。

 

日本へ戻る度に美容院で切り方を教えてもらい、今では少しは上手くなったように思う。

 

切る度にイメージが少しずつ変わるけど

 

それもそれで楽しい。

 

自分で髪を切るのは、ロシアでの私の楽しみのひとつでもある。