ぶか~しゅか の ひとり言 (from:モスクワ)

ロシアは日本人にとっては知らないことが多い国。日本の考え方は100パーセント通じない国。でも見かたを変えれば、面白いことも多い国。ロシア人のなかで暮らす日本人の私が、見て感じたロシアをそのままに書いてみたいと思います。

つぶやき・・・ロシアの夏に

ロシアの夏は、6月の強い日差しを感じるころに始まり、
7月の末から始まる雷雨で終わる。


モスクワの夏はやはり暑い。
日本のような蒸し暑さとは違うが、
30度に達する夏の日差しの強さは日本に負けないくらいだ。


その強い日差しの中をロシア人は帽子をかぶらずに歩く。
帽子をかぶっているのはお年寄りぐらいで、
女性であっても顔を真っ赤にして、夏の刺すような日差しの下をサングラスだけで、
平気で歩いている。


「夏に日焼けしない肌でいるのは病人だけだ。」


と主人は言う。
日傘をさして歩きたい気持ちを抑えながら、
私は夏用の帽子のひさしを手でしっかりと押さえながら、顔をなるべく隠して歩く。


日本の女性が気にする日光によるシミをロシアの女性は気にしていないのだろうか。


小麦色に焼けた肌を出せるだけ出して歩くロシアの女性たちは、健康的で魅力的だ。


透けたスカートから見えるTバックを履いたお尻は、バンと張っていて、
女性の私が見ても胸がドキドキするくらいなまめかしい。
妊婦でお腹が出ていようが、太って横っぱらがダブついていようが、
暑いときにはへそを出して歩くのはあたりまえ。
風が吹いたときに深いスリットから見える足は太くても、
夏を全身で感じている女性たちは美しい。


男性は、若い人も年配も、短パンで、上半身裸で歩いている人をよく見かける。
なにより驚くのは、その歩き方だ。


軍隊を経験するからだろうか、皆、姿勢がよく、
背中を反るようにして腕を振ってドシドシ歩く。
早い足取りで、地面をしっかりと踏みしめているように歩く。
「俺は男だ!」
ってことを強調しているような歩き方だ。



7月のある暑い日、扇風機でやっと暑さをしのいでいた私は、
冷たいお茶を飲みながら、ふと家の向かいの印刷工場へ目をやった。


トタン屋根が強い日差しに溶けそうに銀色に光っている。


そこに、屋根の修理をしに来たのであろう労働者たちが、
パンツ一枚で屋根の上で気持ち良さそうに日光浴しているのが目に入った。


空を見上げ、仕事をすることを忘れたように
ゆったりと身体を伸ばして日光浴する彼らの姿に、
夏の日差しのあることのありがたさを改めて考えさせられた。